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登山道の適正利用

背景)

最近の山ブームで、山ガールなどの言葉が良く聞かれるようになりました。しかし、一部の山岳自然公園では過剰な利用(オーバーユース)による自然環境や、自然体験の質の劣化が問題になりつつあります。

こうした状況の中、自然体験の質を維持しつつ、公園の適正な管理を提案する手法としてROSRecreational Opportunity Spectrum)が注目されつつあります。ROSとは、登山道の原生度合い(アクセスの容易さ、人為的影響の程度など)に応じた整備・利用指針を決定する手法で利用者に多様な自然体験を提供するとともに、自然環境の保全にも貢献すると期待されます。

 

(目的)

本研究ではROS概念に基づいて中部山岳地帯(上高地~穂高地域)の登山道の整備・利用指針について検討し、その適正な利用・保全について考察を加えました。

 

(結果・考察)

登山道利用者へアンケートを実施し、その利用目的や嗜好と、実際の登山道環境との関係を解析したところ、(1)目的地が近くにある利用者の多くは、整備された登山道を好むが  (2)一方、原生的な登山道を好む利用者も少なくないこと (3)目的地が遠くにある利用者は、原生的な登山道を好むこと、が分かりました。

以上の結果に基づき、「目的地へのアクセス時間」と、「登山道周辺の自然環境」に応じた登山道整備指針を提案しました。

 

(重要な成果)

やや専門的な話になりますが、本研究では従来のROSと異なり、非線形的なモデルを用いてROSを展開するという、柔軟性の高い新しい手法も提案しました。この手法を用いれば、日本の山岳地域のように狭い空間で環境が大きく変化するような場所でも、合理的な整備指針が提案できるようになります。この成果は、日本の山岳地域の保全利用計画に大きく役立つと期待されます

調査地:北アルプス(上高地~穂高)
混雑する涸沢(上高地~穂高)
収容力を超え、付近の草原に張られるテント
登山道の複線化
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