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研究概要

    私は「人と自然との共生に寄与すること」を研究理念として、人間活動や環境の変化が生態系に与える影響の評価や、生態系のメカニズムの解明に取り組んでいます。

 

これまで、生態学的な視点に基づいて、「開発などによる生物多様性の喪失」などの地域の課題から「地球温暖化による生態系の劣化」などの地球環境問題まで、多様な空間スケールで研究を展開してきました。

 

この際、「コケ植物」を1つのキーワードにしていることが私の研究の特徴です。

 

なぜ、コケなのでしょうか。

 

生態系の環境応答やそのメカニズムについて考察を深める際には、環境の変化に敏感で、かつ生態系の基本システムである物質循環に大きな役割を果たしている要素に着目することが有効です。

 

この要素の一つとなるのが、実は「コケ」なのです。

 

コケは他の植物と異なる体制をもつために環境の変化を受けやすく、また、水や栄養塩類を効率よく吸収するため、生態系の物質循環に大きく寄与してます。

 

さらに、アジアモンスーン帯に位置して湿度が高い日本は、世界でもコケの多様性が高い地域であり、生物の多様性を考えるうえでも、コケは重要です。

 

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興味深いことに、日本人はこの豊かなコケに囲まれた環境を活かして、文化の中に積極的にコケを取り入れてきました。例えば、コケを庭に用いる文化があるのは、世界の中で、日本だけです。

 

 そこで、コケを視点として「文化と生物多様性との関わり」についても研究を進めています。

都市の庭園:コケが景観をつくる
渓谷岩壁:垂直の岩場をコケが被う
亜高山帯林床:厚いコケマットが発達する
高山帯岩場:コケが優占する
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