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コケの研究を通して伝えたいこと

研究の概要を読んで、

 

「コケを研究する意味は分かるけど…日常生活にすぐに影響がでる内容ではないし…コケは自分には関係がないかな」

 

という方もいると思います。むしろ、そう感じる方がほとんどかもしれません。

 

では、『コケを知ることで、皆さんの日常がちょっぴり楽しくなるかもしれない 』としたら、どうでしょう?

 

例えば・・・

コケに目線をあわせることで、いつもの風景の中にも、これまで気がつかなかった景色---小さなコケが作るしっとりとした空間---があることに気がつきます。

 

離れてみると何だかよく分からない緑の塊のコケも、近くでみると、キラキラ透き通って美しく、コケの織り成す世界は、見飽きることがありません。「身近にこんなにもみずみずしい世界があったんだ」と感動を覚えることもしばしばです。

 

見慣れた風景でも、「コケからみえてくるもの」があるのです。

 

また、コケに関心をもつと、どこかに出かけたとき、「どんなコケがあるのかな?」と、小さな楽しみが一つ増えます。

小さくて、おまけに土がないところさえ、平気で生えるコケは、街の中心部から、富士山の山頂まで、海中を除くあらゆる所に生えています。つまり、どこに行ってもコケが楽しめるのです。

 

こうしたコケの魅力をきくと・・・なんだかコケにも親しみがわいてきませんか?

 

一歩進んで、少し別の見方をしてみましょう。

身近な生物に興味をもつと、新しい視点ができ、環境問題の捉え方が大きく変わります。

 

開発による自然破壊、里山の放棄、ヒートアイランド問題、地球温暖化など、今私たちは大きな環境問題に直面しています。

 

こうした環境問題は報道だけからではなく、やはり、自らの感性で感じ取ってこそ、理解が深まります。この感性を身につけるうえで、生物などの自然に関心をもつことは大変重要です。というのも、人間とちがって、自ら環境をコントロールできない生物の世界には、環境問題の影響が強く反映されているからです。

 

つまり、生物は環境問題を考えるための、いわば身近にある精巧なモニターになるのです。

 

コケの研究を通して、皆さんのに「コケをみるという小さな?楽しみ」とともに、「新たな視点で環境問題などをとらえるきっかけ」も提供できたら幸いです。

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